ゲノム、プロテオームなど、網羅的分子解析技術が進歩し、膨大なオミクスデータと臨床データを人工知能(AI)により統合解析することにより、種々の疾病の未知の世界が次第に解明されつつあります。同時に、医学領域では従来の疾病体系が変わりつつあります。これに伴い、難治性疾患の新しい診断・治療方法の開発が期待されます。医用オミクスコアセンターは、主に東北大学病院個別化医療センター(P-MEC)が収集し未来型医療創生センター(INGEM)が蓄積する診療科横断的、疾患横断的バイオバンク検体を用いた種々のオミクス解析と東北大学病院の臨床データのAI解析により、種々の難治性疾患や希少疾患の病態解明と新しい診断・治療方法の開発を目指します。
ゲノムプロジェクトによってヒトゲノムが公開されてから 20年以上経ちました。その後、次世代シークエンサーや質量分析計が普及し、計測技術が向上して、様々なオミクス解析が可能となり、膨大なデータを取得できるようになりました。医療領域でも多様なサンプルを解析することで、新しい知識が得られると期待されています。
今、私たちが直面している問題は、これらの膨大なデータの中から、どのようにして有用な情報を引き出すのかという点です。蓄積されたデータから病態の理解、そして診断・治療法の開発へとつなげていきたいと考えています。
医用オミックスコアセンターは、東北大学病院を中心とした地域医療機関から収集された患者の臨床情報や患者検体から生体分子情報を収集し、学内研究者が膨大なデータの統合解析により難治性疾患や希少疾患の病態解明やその新しい診断・治療法の開発へ応用研究を展開できるように、研究支援プラットフォームを構築します。
東北大学個別化医療センター(P-MEC)が病院の各種患者検体を収集し、未来型医療創生センター(INGEM)が蓄積する診療科横断的、疾患横断的バイオバンキングの仕組みが構築されました。このバイオバンク検体を用いた学内研究者の種々のオミクス解析データをデータベース化する学内システムの構築に取り組んでいます。今後、創生応用医学センターのAI部門と協力してオミクスデータのAI解析に取り組みます。