医療と数理科学との架け橋となり、人々の幸福に貢献することを基本理念に、疾患治療に欠かせない画像診断技術の研究、将来的な疾病リスクの予測や予防の提案を行う手法の開発など、数理科学・データ科学を駆使して、臨床現場に根ざした医療研究を進めています。人々が健康で豊かな暮らしを続けて行くサポートする研究・開発・臨床医療、いかなる分野に携わろうと医療者である我々の願いはひとつです。「優れた技術があるから研究をする」のではなく、「人々の暮らしを豊かにするために必要な技術は何か」という気持ちを常に忘れないでいたい。研究を生きがいとし、研究者ひとりひとりが未来を見据えて共に成長することで、社会貢献へと繋がり人々を幸せにすることができると考えています。
医用画像は、診療業務において極めて重要な情報をもたらします。また、現在の人工知能(artificial intelligence: AI)の主流である深層学習は、画像処理・解析に長じており、医用画像診断分野におけるAI活用は、比較的早くから取組まれ研究としては活況を呈しています。一方で、臨床では期待されるほどの成果が上がっていないとも言われています。この問題を解決するには、様々な専門分野の方々との協同が不可欠です。当コアセンターでは、センター長が画像診断の立場から、私がAI技術の立場から参画し、関連分野の方々とともに臨床で真に有用なAI開発を進めます。AIの導入により、医療従事者が患者様に寄り添う時間を増やせるような、新時代の医療に繋げたいと考えています。
臨床医療の現場に活かせる技術の創出を目標として、医療分野に数理学的な手法を組み合わせた研究を行っています。医用画像の数理的解析・AI研究に加えて、画像情報と臨床情報を組み合わせた診断技術の開発・治療ナビゲーションなどの画像を用いた診療支援などを扱います。医療を専門とする医師、画像処理を専門とする放射線技師、人工知能(AI)の専門家であるデータサイエンティストなど、さまざまな人員がプロジェクトを構成しており、多方向から研究テーマにアプローチしています。
主な研究テーマは、人工知能(AI)を用いた乳腺疾患などの画像診断の研究、画像データの前処理が人工知能(AI)の精度に及ぼす影響の研究、数値流体モデルを用いた心血管疾患の研究などがあります。また心不全患者のデータベースの解析によるデータサイエンスに取り組んでおり、ここでは解析の可視化方法について様々なアプローチを試みています。さらに、死後画像診断への応用も進めています。死後画像は生体と異なることも珍しくなく、解剖所見と照合した確かな画像所見に基づくAIを開発しています。画像診断以外でも、放射線治療、とくに肺がんなど体内移動を伴う標的の対策として、医用画像を用いた追跡とそれに基づく追尾照射用のAI技術開発も行っています。